埼玉新聞朝刊「ドクターQ&A」(埼玉新聞掲載2020年3月30日)

視界になにかゴミのようなものが見えます。飛蚊症だと思うのですが特に日常生活に支障はありません。そのままにしておいてもいいでしょうか。

 目の前で「黒や白い物が飛ぶ」症状を総称して飛蚊症と呼びます。蚊だけではなく、糸くずや水玉など、人によって様々な形のものが見える場合もあります。
 その原因は、眼球の硝子体の濁りです。硝子体は水晶体の後方にあり、卵白のような透明のゼリー状の物質です。この物質中に何らかの原因で濁りができて、その影が網膜に投影され自覚されるのが飛蚊症です。
 数カ月前から数個の飛蚊が出たり消えたりする場合、そのほとんどは、生理的飛蚊症(加齢などで硝子体に繊維の塊のようなものができるため)ですが、数日前から時間ごとに増えていく飛蚊や、同時に見えづらい部分が出てきた場合は、早急な治療が必要な網膜剥離や網膜硝子体出血が原因であったり、内科的疾患などが原因で、眼内に炎症が起きるぶどう膜炎の初期症状のこともあります。そのため、致命的な視機能障害を残す結果にならないためにも、早期に眼科医療機関での検査が必要です
 飛蚊症を自覚されたら、眼科を受診し、精密検査を受け、放置して良いものかどうか診察を受けることが大切です。その際、点眼薬で瞳を広げての精密眼底検査を行うことがありますので、なるべくバイクや車の運転での受診は避けられることをお勧めします。


2022年03月30日